(チラシデザイン:清水ツユ子)

忘れてしまった
  雨が降りそうだったので
   傘を持って出た
  電車に乗っていたら
   少し日が照ってきた
またはずれか…天気予報
電車を降りると
     雨のにおい
   雨が降る
     きっと
   気がついたら傘がなかった
私は行く
  雨の匂いの中を

(公演チラシより)

村上春樹のベストセラー小説「ノルウェイの森」で、のちに死んでしまう直子は主人公の僕にお願いがあるといいます。
「私のことを忘れないで」と。
87年、私が21歳の時に発売された小説です。発売日に買いに行き、何度も読みました。
まるで直子や「僕」が自分の近くにいると感じるくらい。
私は記憶力がいいほうなので、自分にとって大事なことを忘れるはずがないとあの頃は思ってました。でも歳を重ねていくごとに記憶は薄くなります。いろんなことや物や人を失っていきます。
台本を書いていて、直子の言葉を思い出しました。直子が「僕」に言う言葉を。
何度も読んだ小説なのに、どんな内容だったか思い出せず・・・
「忘れる」ことは、人にとって、とても残酷でもあり、楽なことでもあります。

建築の本を何冊か読みました。「建築も演劇と似ているな」と思いました。
1人で作るものではなく、多くの人が関わって出来る物。よいものを求めるには時間をかけ、対話を積み重ねていく。積み重ねる対話が多ければ多いほど、生じる摩擦が大きければ大きいほど作品に奥深さが出る。と安藤忠雄は言ってます。

今回劇団員のみの公演です。いつもより時間をかけて作ってきました。どうかお客様に伝わりますように。

梅雨はどこに行ったんでしょうか?という今日この頃。
「雨のにおい」最後までごゆっくりご覧ください。

本日はご来場いただき、誠にありがとうございます。

高井浩子(当日パンフレットより)

村上春樹のベストセラー小説「ノルウェイの森」で、のちに死んでしまう直子は主人公の僕にお願いがあるといいます。
「私のことを忘れないで」と。
87年、私が21歳の時に発売された小説です。発売日に買いに行き、何度も読みました。
まるで直子や「僕」が自分の近くにいると感じるくらい。
私は記憶力がいいほうなので、自分にとって大事なことを忘れるはずがないとあの頃は思ってました。でも歳を重ねていくごとに記憶は薄くなります。いろんなことや物や人を失っていきます。
台本を書いていて、直子の言葉を思い出しました。直子が「僕」に言う言葉を。
何度も読んだ小説なのに、どんな内容だったか思い出せず・・・
「忘れる」ことは、人にとって、とても残酷でもあり、楽なことでもあります。

建築の本を何冊か読みました。「建築も演劇と似ているな」と思いました。
1人で作るものではなく、多くの人が関わって出来る物。よいものを求めるには時間をかけ、対話を積み重ねていく。積み重ねる対話が多ければ多いほど、生じる摩擦が大きければ大きいほど作品に奥深さが出る。と安藤忠雄は言ってます。

今回劇団員のみの公演です。いつもより時間をかけて作ってきました。どうかお客様に伝わりますように。

そして初の地方公演。初の弘前です。
前川國男の作品を見て、帰ります。

高井浩子(弘前公演当日パンフレットより)

「雨のにおい」 再演データはこちらから
東京公演
2005年6月日~7月日(全7ステージ)
下北沢 駅前劇場

弘前公演
2005年7月23日~24日(全2ステージ)
弘前 スタジオデネガ

作・演出:高井浩子

キャスト
・遺失物管理所の人間
小日向・・・瓜生和成
橋本・・・ミギタ明日香

・遺失物管理所に来る人
トミー浜田・・・岡本考史
おばさん・・・坂田恭子
田代・・・森啓一郎
ケイ・・・山本美月
そば屋・・・永井秀樹

建築事務所の人
脇田・・・森啓一郎
水野・・・青山隆之
小池・・・岡本考史
藤井・・・坂田恭子
阿部・・・山本美月

川嶋・・・高井浩子

スタッフ
照明:菊地庸子
音響:中平美紀(ルネサンスデザイニング(有))
舞台監督:甲賀亮
舞台美術:斎田創+突貫屋
舞台装置:大津英輔
舞台協力:松下清永
宣伝美術:清水つゆこ
舞台写真:青木司
制作:東京タンバリン

協力:にしすがも創造舎(豊島区文化芸術創造支援事業)

Special Thanks
東京公演:
中原和彦・大地洋一・本多由佳・早坂里美・新保智子・島谷夏絵・喜久田裕介・今野美希・前有佳・内野早苗・大湯純一・ENBUゼミナール高井浩子2004年秋季クラス「高井さんちの子供たち」

弘前公演:
佐藤誠・鳴海一行・弘前劇場・菊富士本店・グランス・TEA&Co.・㈱日弘楽器・名曲喫茶ひまわり・會・メディアイン城東店・JOY-POPS・(有)ベターホームズ・葡瑠満・青い花のスウィートポテト・大瀬千尋・NPO harappa 事務局・ROCaBOOTH・とわいす・ATHINE・Dan厨・紀伊国屋書店・ヴィレッジバンガード・一番館・まちなか情報館・Viva弘前・青森放送・陸奥新報・東奥日報社・津軽ドットコム
ほか弘前の皆様

ものがたり
東京近郊の沿線終点駅。そこの遺失物センターにはその日車内で忘れられたものが集まってくる。そこで働く男はいわゆる「高価なもの」がおろそかに扱われていたり、どうでもいいものが失った者にとって必要不可欠なものであったりすることに複雑な思いを抱く。
「私物」を扱う公的機関で浮かび上がる「人」と「物」、「人」と「都市」の関わりあい。大都市に生きる人間の欲望と寂しさが「物」を通して描き出されていく。

TOPIC
物語にも登場する建築家「前川國男」の建築物が数多く残る弘前で、初の地方ツアー実施。
高井浩子、劇団で最後の俳優出演(2021年3月時点)